专利摘要:
機械要素を製造する方法は、好ましくはSa=0.1μmより大きい表面粗さを有する粗い湾曲表面を有する機械要素を提供するステップ(210)を含む。この方法は、粗い湾曲表面に対して直接に、固形潤滑物質を横断方向に摩擦化学的に直接沈着するステップ(214)を特徴とする。機械要素は湾曲表面を有する。湾曲表面は、摩擦化学的に沈着された固体潤滑剤の表面層を有する。機械要素は、上記の方法で獲得することができる。このような機械要素を製造するための工具は、支持部分と、少なくとも1つの工具作業面と、工具を湾曲表面に向かって押し付ける手段と、前記少なくとも1つの工具作業面を前記湾曲表面に沿って二つの異なる方向に動かす駆動手段とを備える。作業面は、安定な硫化物を形成することができる元素の酸化物、カーバイド、および/またはシリサイドを含む。
公开号:JP2011506760A
申请号:JP2010536475
申请日:2008-12-05
公开日:2011-03-03
发明作者:シュタヴリード,ニルス
申请人:アプライド・ナノ・サーフィスズ・スウェーデン・アクチボラグ;
IPC主号:C23C26-00
专利说明:

[0001] 本発明は、全般に、低摩擦な要素の製造方法、そのための工具、それにより製作された要素に関する。]
背景技術

[0002] 内燃機関では、一般にシリンダー内で燃焼プロセスが生じ、その結果、ピストンがシリンダーに対して相対的に運動する。この相対運動の摩擦は、燃焼プロセスにより放出されたエネルギーを浪費しないために、特に、放出されたエネルギーがピストンおよびシリンダーにおける熱に変換されないために、低い値でなければならない。さらに、ピストンとシリンダーとは、燃焼ガスの漏れが最小となるような物理学的関係になければならない。]
[0003] この目的のために、最終的な表面粗さSaが一般に0.15μmから0.50μmの範囲となるよう、シリンダーの内面に注意深く処理を施す必要がある。そのような表面処理プロセスは、通常、ボーリング加工、粗ホーニング加工、精密ホーニング加工、プラトーホーニング加工の他に、可能ならばシリンダーとその対になるピストンリングとの間のならしを行うなどの、多数のステップで行われる。その結果形成される表面プロファイルには、しばしば平坦な形状を有する突起(stylus)が形成される。そのような突起は、平坦な頂と、潤滑剤を含んで潤滑剤貯蔵部となる窪みとを有する。]
[0004] ピストンおよびシリンダーが作動する間は、通常、潤滑剤が添加される。シリンダー壁に残存する起伏はわずかな体積の潤滑剤を含むことができ、その潤滑剤は、シリンダーとピストンとの間に膜を形成する。その膜により、摩擦係数は比較的低い値となる。この現象が完全膜潤滑である。しかし、滑り速度がピストンの折り返し点で0に近づくと、完全膜潤滑に要求される要件が満たされなくなる。境界潤滑と呼ばれるこの状況では、摩擦係数は、接触する2つの固体すなわちピストンリングの材料とシリンダーの材料との剪断特性により決定される。]
[0005] 従来の潤滑剤は石油製品製である。従って、シリンダー内の高温環境と接触すると、潤滑剤の一部は分解することとなる。潤滑剤は、環境にあまり優しくない成分を含有することが多いため、そのように潤滑剤が分解すると有害な燃焼ガスが発生する可能性がある。従って環境的な理由のため、そのように有害な潤滑剤を添加することは抑える必要がある。一方、そのように潤滑剤を添加せずにピストンリングとシリンダーとの間の潤滑を良好な状態に保つことは、困難である。]
[0006] 固体潤滑剤などの代替的な潤滑物質も使用されてきた。例えばグラファイト、二酸化モリブデン、および二硫化タングステンは、低い摩擦特性を示す物質として知られている。国際公開第95/02023号では、エンジンのシリンダーボア壁が、例えばニッケルおよびスズなどの軟質金属からなる薄い金属シェルに封入された少なくともグラファイトおよび二酸化モリブデンのコアを含む溶射可能な粉末で被覆される。この被覆により、シリンダーボア壁は多孔性を有するようになり、そこにオイル潤滑剤が保持されうる。中国特許第1332270号明細書の要約書の英訳文では、二酸化モリブデンまたは二硫化タングステンの含有液でメッキする、電気メッキまたは化学メッキを行うことにより、低摩擦面を提供する方法が開示されている。英国特許第847800号明細書では、例えばタングステンおよび硫黄を含むポリマーを熱分解することにより、金属硫化物被覆が提供されている。]
[0007] 湾曲表面、および特にシリンダー内壁は、表面処理に関して特に困難な問題がある。スプレー、電気メッキ、熱分解、物理学的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、その他に基づく表面被覆は、滑らかに、平坦に、且つ全表面上で制御可能に、被覆することが困難である。その理由は主に幾何学的なものである。なぜなら一般に、機材または物質がシリンダー内で制限された体積だけ供給されなければならず、またシャドウ効果も発生するからである。完全に新しい製造プロセスステップおよび製造工具が提供される必要がある。すると、製作コストが増大することとなる。]
[0008] さらに、先行技術の方法により提供される固体潤滑層には、様々な種類の本質的な欠陥がある。軟質金属のシェルに封入された粉末を利用する場合、コアの潤滑剤特性が軟質金属により部分的に低下させられてしまう。さらに、コアの潤滑剤物質が任意の結晶方向を有することとなり、それにより、低摩擦面および表面の摩擦がいくぶん高くなってしまう。電気メッキまたは熱分解の場合、シリンダー壁に対する表面層の結合および結晶成長方向は、制御が困難となる。さらに、適応した反応環境を提供する必要が生じる。]
発明が解決しようとする課題

[0009] 本発明の目的は、低摩擦面を有する要素の改良された製造方法を提供することである。本発明の別の目的は、容易且つ廉価に実施できるそのような方法を提供することである。本発明のさらに別の発明は、そのような製造方法と、そのような製造方法を実施するための製造工具とにより、低摩擦面を有する要素を提供することである。]
課題を解決するための手段

[0010] 上記の各目的は、添付の特許請求項に係る方法、装置、および構成により、達成することができる。一般的に述べると、第1の態様では、機械要素の製造方法は、被覆される表面を有する機械要素を提供するステップを含む。表面粗さSaは0.1μmよりも高い値であることが好ましい。ここでSaは、中心線平均粗さとしても知られる3次元的な算術平均粗さとして定義される。この方法は、被覆される表面に対して固形潤滑物質を摩擦化学的に直接沈着させステップを特長とする。摩擦化学的な沈着を、被覆される表面の少なくとも一部における各点で、被覆される表面に沿って少なくとも2つの横断方向で、行う。]
[0011] 第2の態様では、機械要素は、摩擦化学的に沈着した固形潤滑物質の表面層を有する低摩擦面を有する。なお、この表面層は、表面の少なくとも一部における各点で、表面に沿って少なくとも2つの横断方向で、沈着されたものである。]
[0012] 第3の態様では、機械要素の表面処理に用いる製造工具は、支持部分と、少なくとも1つの工具の作業面と、被覆される表面に向かって工具の作業面を押し付ける手段と、工具の作業面を、その湾曲した表面の少なくとも一部の各点で、その表面にそって少なくとも2つの横断方向に動かす駆動手段と、を備える。工具の作業面は、酸化物、カーバイド、および/または、モリブデンおよび/またはタングステンを含むシリサイドを含む摩擦化学的な沈着工具の作業面である。]
[0013] 本発明の1つの特長は、通常の従来技術による手法に比べてさらに少ない表面処理ステップにより、低い摩擦係数を有するきわめて滑らかな要素の表面を達成することが可能である点である。これは、摩擦化学的な沈着が、いくつかの方向で表面の山頂部分および底の窪みの両方を減少させることにより、同時に2つの境界上の表面粗さのパラメータに作用する事実によるものである。各点において少なくとも2つの横断方向で摩擦化学的な沈着を行うことにより、均一な表面層を確実に形成することができる。さらに、もとの表面が比較的粗い表面に対して沈着が行われたとき、シリンダーの主材料への良好な結合特性を有する比較的厚みのある表面層が提供される。摩擦化学的反応のプロセスの固有の方向性が滑り方向の1つと平行であるとき、固体潤滑剤は確実に、表面に平行な低摩擦結晶面を有することとなり、意図した相対運動方向に向かうよう制御されることができる。]
[0014] 本発明ならびに本発明の追加の対象物および特長は、以下の添付の図面とあわせて以下の説明を参照すると、もっともよく理解できるであろう。]
図面の簡単な説明

[0015] 摩擦化学的な沈着を説明する概略図である。
先行技術によるエンジンシリンダーの製造プロセスを説明する概略図である。
本発明に係るエンジンシリンダーの製造プロセスの1つの実施態様を示す概略図である。
表面と相互作用する、本発明に係る工具の1つの実施態様を示す概略図である。
本発明に係る製造方法の1つの実施態様における各ステップを示すフローチャートである。
本発明に係る機械要素の1つの実施態様を示す概略図である。
本発明に係る工具の1つの実施態様を示す図である。
本発明に係る工具の1つの実施態様を示す図である。
湾曲表面を有する機械要素を製造する装置の1つの実施態様を示す図である。
工具の作業面を示す図である。
工具の作業面を示す図である。
工具の作業面を示す図である。
工具の作業面を示す図である。
横断方向の意味を説明する図である。
横断方向の意味を説明する図である。]
実施例

[0016] 本開示を通じて、異なる図および実施態様に現れる同等のまたは直接対応する構成には同一の参照番号を付すものとする。
本発明では「横断」という用語が用いられる。本開示を通じて、表面でのまたは表面に沿った2つの横断方向の運動の意図する意味は、その表面上の1つの点で交わる2つの平行でない運動として定義される。図10Aは、横断しない運動と考えられる運動の2つの例を示すものである。一方、図10Bは、横断する運動の包括的な3つの例を示すものである。これらの3つの例では、問題となる表面で、2つの平行でない方向が通過する、少なくとも1つの点がある。] 図10A 図10B
[0017] 本発明によれば、好ましくは比較的粗い被覆される表面に対して直接的に、摩擦化学的な沈着(Tribochemical deposition)を行うことにより、表面に固体潤滑剤が備えられる。摩擦および摩耗の分野において、摩擦化学的な沈着自体は周知である。二硫化タングステンと同等の組成を有する化合物の形成は、例えば、Nils Stavlidの博士論文「On the Formation of Low−Friction Tribofilms in Me−DLC − Steel Sliding Contacts」、Uppsala University 2006、ISBN 91−554−6743−1に見ることができる。]
[0018] 図1では、モデルシステムが記載されている。工具10の作業面12は、タングステンカーバイド14が提供されている。工具10は力16により、処理が施される基板表面20に対して押し付けられる。同時に工具10は、基板表面20上を速さ18で動かされる。作業面12と基板表面20との間の接触で、トライボ膜22が基板表面20上に生成される。換言すれば、トライボ膜(tribofilm)22は摩擦化学的な沈着により形成される。トライボ膜22は、摩耗による移動の膜(wear transfer film)、反応層などと呼ばれる場合も多い。] 図1
[0019] 2つの表面が接触して相対運動を行うと、各表面に摩擦効果が生じる。接触点では、きわめて大きい局部応力が生じ、局部温度が上昇する。その結果、トライボ膜を形成する様々な化学反応経路が生じやすくなる。2つの表面の組成が異なる場合、すなわち、その接触が不均一な場合、反応経路の予測が困難になることが多い。従って、その結果形成されるトライボ膜は、他のプロセスでは得難い化学組成を獲得することができる。
図1に示すモデルシステムでは、基板表面20は、例えば鋼表面などの鉄含有表面である。鉄含有表面とは、鉄原子24または粒子が基板表面20に存在するという意味である。さらに、自由な形体の硫黄32を含有する処理流体30が、接触面8に提供されるかまたは接触面8に近接して提供される。起こりうる化学反応は、工具の作業面12に含まれる元素、基板表面20に含まれる元素、および/または処理流体30に含まれる元素を含んでもよい。本モデルシステムでは、二硫化タングステン26である物質または二硫化タングステン26に類似した物質を含むトライボ膜22、すなわち固体潤滑剤の物質が形成されたことが実証されている。加えて、鉄は安定した硫化物を形成することができるため、硫化鉄のような物質を含む基板表面材料もまた、第2相28を形成する化学反応に寄与する。従ってモデルシステムで形成されたトライボ膜22は、複合材料中に分散した固体潤滑剤26を有する。ここで、複合材料中で、第2相28は基板材料から形成される。この第2相28は、固体潤滑剤26を基板表面20に結合させる結合剤として作用する。] 図1
[0020] 一般に炭化タングステンはきわめて硬い金属と考えられ摩耗しないと期待されているにもかかわらず、二硫化タングステン含有膜は、タングステンを含む作業面12から基板表面20にタングステンを選択的に移動させることによる摩擦化学的な沈着と、さらに処理流体30に含まれる硫黄との化学反応とにより、形成されることを実証できる。このように押圧力16は材料を変形させるのに十分であり、その結果、タングステン、硫黄、および基板表面間の化学反応が生じる。トライボ膜22は、作業面12および処理流体30の炭素含有量が高いにもかかわらず、実質的に炭素を含まない。]
[0021] 形成されたトライボ膜22は、基板表面20にもともと存在した間隙および凹凸を実質的に全部埋め尽くす。二硫化タングステンは一般に(硫化鉄、FeSにおけるように)金属−硫黄結合により基板材料と結合される。獲得されたトライボ膜22の表面は、実際に非常に滑らかなものとなり、近い将来には10nm以下の粗さが達成可能であると考えられている。平滑化は2つの機構により作用する。第一に、基板表面の突出縁部が、工具の物理作用により切削される。第二に、形成されたトライボ膜22が、残存する窪みを埋める。2つ以上の横断方向で沈着を行う場合、そのようなトライボ膜22を形成する均一性および効率が大きく改善される。なぜならそのような場合、突出縁部および窪みが相補的に影響し合うからである。さらに、滑り接触で2つ以上の横断方向を用いると、境界での間隙形成の傾向が減少し、その結果、被覆の密着性が改善される。]
[0022] トライボ膜22の厚みは、基板表面20のもとの粗さに大きく依存する。厚いトライボ膜22は、滑らかな表面からよりも、粗い表面から実現することができる。また、滑らかな表面上に形成されたトライボ膜よりも、粗い表面に形成されたトライボ膜のほうが基板に対する結合が強いと結論できる。しかし形成されたトライボ膜の最終的な粗さは、基板のもとの表面粗さには実質的に依存しない。]
[0023] 摩擦接触が生じる機械的操作において固体潤滑剤が摩擦軽減剤として表面に要求される用途では、比較的厚く強い表面被覆が要求される。驚くべきことには、本発明での発見事項によれば、そのような表面は、滑らかな表面上よりも、むしろ粗い表面上に直接得ることができる。同時に、最終的な表面被覆の最終的な粗さは、もとの表面粗さが異なる例を比較してみても、ほとんど異ならない。これは、固体潤滑剤の摩擦化学的な沈着を比較的粗い表面に施すことが可能であることを意味するのみならず、比較的粗い表面のほうが好ましいことも意味するものである。従って、良好な固体潤滑剤表面を提供するためには、もとの平均表面粗さ(Sa)が0.1μmより大きく、好ましくは0.5μmよりも大きく、より好ましくは、1μmよりも大きく、さらにより好ましくは2μmよりも大きくあるべきである。]
[0024] 平均表面粗さは様々な方法で定義されうる。しかし本開示では、表面粗さの数値は、中心線平均粗さとも知られる算術平均粗さである3次元的に獲得されたSa値として定義されるものとする。]
[0025] 摩擦化学的な沈着の、この驚くべき特徴は、様々な機械要素において低摩擦面を生成する際に有利に利用することができる。他の製造プロセスは湾曲表面に利用できないという固有の問題を有するために、この手法は、特に湾曲した低摩擦面を作成する際に特に有益である。一方、平坦な表面を作成することも可能である。湾曲表面が、例えばベアリングブッシュの内面またはシリンダーボアの内壁等の、内面であるときに、最大の利点があると考えられる。そのようなボアは例えば、内燃機関のシリンダーまたは油圧要素のシリンダーであってもよい。一方、本発明は、シャフトまたはピストンの表面などの、外側の凸面の表面にも適用することができる。回転対称の表面が好ましい。なぜなら回転対称の表面に沿った運動は比較的実現しやすいからである。]
[0026] 以下の詳細な説明では、エンジン要素のシリンダーを機械要素モデルとして使用する。
図2では、内燃機関のシリンダーの、一般的な先行技術による製造プロセスの概要が示されている。シリンダーボア40が、この例ではエンジン要素42である機械要素41内に存在する。この例ではシリンダーボア40の内面44である、回転対称形状を有する湾曲表面43は、この例ではシリンダーボア40の内面44であり、一般に粗い表面を有する。例えばダイアモンド砥石を用いて粗ホーニングが行われる。それにより、シリンダーボア40が正確に正しい寸法となる。同時に内面は、より細かな表面粗さとなるよう、研磨される。それでもその表面粗さは、従来技術の用途には大きすぎる値である。次に、精密なホーニングの手順が行われる。磨き砥石を用いて平坦仕上げ(plateau finish)が行われる。ダイアモンドまたはシリコンカーバイドの砥石が一般に用いられる。先行技術によるプロセスのこの実施態様における最終ステップは、エンジンの運転を行って最後のデブリを取り除き、表面をさらに平滑化することである。この部分が最も厄介であることが多い。なぜなら一般に、プロセスの少なくとも一部が、例えば、車両が納品された後に行われるからである。作業条件が望ましくない場合、このならし手順によってシリンダーボアの表面が理想とはかけ離れたものとなってしまうこともある。このならしステップは省略してもよい。] 図2
[0027] 図3は、本発明に係る、対応する製造プロセスを示すものである。ボーリング加工のステップについては、基本的に変わらない。粗ホーニングのステップは行ってもよいが、必ずしも必要ではない。ボーリング加工の精度が十分あって、シリンダーボアが正確に最終的な寸法となるならば、粗ホーニングさえも省略してよい。精密ホーニングおよびならしの各ステップも、省略される。代わって、摩擦化学的な沈着のステップが少なくとも2つの横断方向で行われる。それにより、表面を低摩擦な状態にし、ならびにその粗さをきわめて小さい値とする固体潤滑層が、粗い表面上に直接形成される。摩擦化学的な沈着を工業的に応用することにより達成される表面粗さの一般的な数値は、0.1μmよりも小さいオーダーになると評価されている。強固な膜を得るためには、最終的な表面粗さが、もとの基板表面、すなわち摩擦化学的な沈着が行われる表面の表面粗さの2/3より小さい値となることが好ましい。図2および図3を比較すると直ちに理解できるように、本発明により、製造プロセスにおける少なくとも2つのステップを完全に取り除き、低摩擦の表面被覆ならびに低い表面粗さを提供する単一のステップで、それらのステップを置き換えることが可能となる。さらに、この新しいステップは従来の製造設備に大きな改変を加えることなく実施可能である。すなわちこれは、本発明はかなり廉価に、且つ、既存の製造ラインで、実施可能であるということを意味する。] 図2 図3
[0028] 上記の検討に鑑みて、本発明に係る表面を有する内燃機関のシリンダーは、従来のシリンダーよりも摩擦が小さいものとなる。試験の結果、一般に、内燃機関に供給される全エネルギー供給の6パーセントが、ピストンリングとシリンダーとのライニング接触の摩擦により失われていることが示されている。本発明により製造された表面で実施された他の試験によると、境界摩擦の量を60パーセントも低減できることが示されている。従って上記低減により、全体的な効率が1.8パーセントから3パーセント改善され、燃料の必要性を低減することを許容する。シリンダーの寿命の期間において、節約される燃料は車両全体の総製造コストの5パーセントから10パーセントに対応しうると見積もられている。]
[0029] 本製造方法は、低摩擦状態が要求される湾曲表面を有する他の機械要素に適用されるときにも、同様の利点が発揮される。
本発明に係る工具が表面と相互作用することにより得られる摩擦化学的な沈着の作用の概要が図4に示されている。本実施態様では円形の工具コア15の周りに提供される表面層13として提供される作業面12を有する工具10が、力16により基板表面20に対して押し付けられ、基板表面20に対して相対的に速さ18で動かされる。処理前の基板表面20は、少なくとも0.1μmの、好ましくは0.5μmの、表面粗さを有する。硫黄を含む処理流体30が、接触箇所の周囲に供給される。その結果、固体潤滑剤を含む滑らかなトライボ膜22が形成される。] 図4
[0030] 例えば二硫化タングステンを含む物質を用いる従来技術の表面被覆方法を用いた場合、固体潤滑剤の結晶面は基本的にランダムな方向を向くことになるであろう。しかし、固体潤滑剤を含むトライボ膜が形成されると、実際の摩擦化学的プロセスにより結晶面方向に優先傾向が生じる。幸運なことに、摩擦化学的プロセスでは、固体潤滑剤の結晶面が基本的に表面に対し平行となるのに有利である。次にこのことは、例えば二硫化タングステン結晶で容易に剪断される硫黄−硫黄平面が表面に平行であることを意味する。その結果、ランダムな方向性を有する二硫化タングステンと比較しても、摩擦が著しく小さくなる。従って摩擦化学的な沈着により二硫化タングステンで被覆された表面は、他の方法により二硫化タングステンで被覆された表面よりも低摩擦を呈する。]
[0031] 摩擦化学的プロセスでの滑り接触により、基板表面の山頂部分が摩耗する。すなわち、粗い表面における「山頂部分」の一部が摩滅し、作業面に含まれる材料とともに「窪み」の充填を援助する。上述のように、この摩耗が、処理される表面の少なくとも一部における各点で2つ以上の方向で行われるなら、処理がさらに効果的なものとなる。膜の形成がさらに平坦なものとなり、改善された密着性を有する密度の高い表面層が形成されるのである。一般的に、工具を基板表面上で、少なくとも2つの異なる方向に、すなわち互いに平行でない方向に、動かすほうが、より効果的である。]
[0032] ただ1つの方向の摩擦化学的な沈着により二硫化タングステンで被覆された表面と、複数の横断方向の摩擦化学的な沈着により二硫化タングステンで被覆された表面とを比較する、経験的な試験が実施されている。複数の横断方向で被覆された表面のほうがより滑らかな表面を提供し、沈着した二硫化タングステンの層がより厚くなることが、試験結果により示されている。一般に摩擦係数も、横断方向で被覆された表面で、より低くなる。低摩擦は、表面がより滑らかであるとともに、良好なトライボ膜の被覆の結果であると考えられる。]
[0033] また、2つ以上の方向で表面処理を施すと、作業面の不完全な表面形状が転移されて沈着された膜の最終的な構造に顕著な劣化を生じさせる影響を与える危険性を低減します。例えば円形のシリンダー表面を被覆する場合、純粋に軸方向ならびに純粋に接線方向の溝は、不利益をもたらすのみである。純粋にらせん型の溝も、同様のことが言える。しかし、複数の横断方向に表面を被覆するならば、作業面の不完全な表面形状のために、欠陥も複数の横断方向に分散されることとなるであろう。そのようなパターンは、連続使用する間、例えば追加の流体潤滑剤等の分散の助けになることができる。]
[0034] 一方、基板表面および工具の運動の相対的な方向は、結晶方向に影響を与えるであろう。工具が1次元的な運動で所定方向に動かされた場合、当該所定方向における摩擦係数は、当該所定方向に対して垂直な方向よりも、一般にいくぶんより低い摩擦係数を示すであろう。従って、物体が実質的に1つの方向に沿って動けるように表面が露出していることが知られている場合、工具の副次的な作業方向はトライボ膜の品質改善を援助するが、工具の主な作業方向は同一の方向であることが好ましい。ブッシュ内で回転するシャフトは、基本的に接線方向の相対運動をすることが知られている。そのような場合、接触表面に施される加工の大部分は、接線方向に、すなわちシャフトおよび/またはブッシュの周辺に沿って、且つ接線方向を横切るより小さい部分で、施されることが望ましい。一方、シリンダー内において、ピストンはシリンダーに対して基本的に軸方向に動くことを意図している。そのような場合、接触表面に施される加工の大部分は軸方向に、且つ軸方向に平行でないより小さい部分で、行われることが望ましい。]
[0035] 図5は、本発明に係る製造方法の1つの実施態様における各ステップのフローチャートを示すものである。製造方法は、ステップ200から開始される。ステップ210で、被覆される表面を有する機械要素が提供される。この表面は、湾曲していてもよいが、例えばシリンダーボアの表面のように回転対称であることが好ましい。一般的な場合、そのようなシリンダーボアは、内燃機関のシリンダーボア、タービンの内面、油圧シリンダーのボア、またはすべり軸受のシリンダー表面でありうる。また、例えばシャフトまたはピストンの外面であってもよい。ステップ212で、被覆される表面が粗研磨され、それにより表面が要求された寸法となる。Sa=0.1μmより大きい表面粗さとなることが好ましい。被覆が厚いと耐久性が上がるため、少なくとも2〜3μmの範囲以下のさらに粗い表面がなおさら好ましい。例えばステップ210で、要求される、最終的な寸法および適した粗さが直接に提供される場合、ステップ212は省略してもよい。ステップ214では、少なくとも2つの横断方向で表面に直接に固形潤滑物質が摩擦化学的に沈着される。摩擦化学的な沈着は、摩擦化学的な沈着を施す工具の作業面を表面に対して押し付けつつ滑らせて、摩擦化学的な沈着を施す工具の作業面と被覆される表面との間の接触ゾーンを変形させることにより、行われるのが望ましい。これにより、摩擦化学的な沈着を施す工具の作業面に含まれる物質が被覆される表面に摩耗により移動する。その結果、0.1μmよりもはるかに小さい、滑らかな機械要素の表面が提供される。シリンダーの場合、シリンダーボアの軸方向および周方向の両方にスライドされることが望ましい。工具の軸方向の運動と周方向の運動とを適切に組み合わせることにより、形成された被覆は上述のように、確実に、高密度で良好な密着性を示し、摩擦係数が低いものとすることができる。また、ステップ214は、押し付けて滑らせる動作の間に硫黄を接触ゾーンに供給するステップを含むことが好ましい。そのステップにより、硫黄が、磨耗によりシリンダーへ移動した材料と反応する。ステップ216で、表面テクスチャリング方法または加熱処理のような、例えばシリンダーボアのような被覆された表面に対して要求される後処理を行ってもよい。しかし本方法の基本的なバージョンでは、ステップ216は省略してもよい。手順は、ステップ299で終了する。] 図5
[0036] 二硫化タングステンが容易に剪断可能な層状結晶構造を含むために、上述の例では、二硫化タングステンを固体潤滑剤モデルとして用いている。しかし、固体潤滑剤の他の候補も用いることができる。二硫化タングステンと同様の安定な層状構造を有する金属二硫化物は、チタン、ニオブ、モリブデン、およびスズ等の金属を用いて形成することができる。しかし、より高い金属比を有する他の硫化物を形成する可能性が欠けているために、特にタングステンおよびモリブデンに注目することが望ましい。]
[0037] 図5に示す方法で製造された機械要素41の1つの実施態様の概要が図6に示されている。本実施態様ではシリンダーボア40である構成物が、本実施態様ではエンジン要素42である機械要素41内に提供されており、本実施態様では内面44である湾曲表面43を与えている。エンジン要素42は、摩擦化学的に沈着した固形潤滑物質の層22を有する。もとの表面粗さが0.1μmより大きい値であったため、表面層22の厚みは一般に0.1μmよりも大きくなり、最終的な表面粗さは0.1μmよりもはるかに小さくなる。] 図5 図6
[0038] 湾曲表面を有する機械要素を製造するための工具10の1つの実施態様が、図7Aに示されている。本実施態様では、工具10は円筒形表面の内側を処理するためのものである。工具10は、本質的に円筒状本体52により形成された支持部分50を備える。なおこの円筒状本体52は、複数の軸方向に向かうスリット54が円筒状本体52の外周の周りに分布している。円筒状本体は、シャフト56に提供される。工具の作業面12を有する工具ホルダー58が、各スリット54に配置されている。(図では、前部のスリットを見ることができるように、1つの工具ホルダーが取り除かれている。)弾性部材59がスリット54内で工具ホルダーの内側に提供されている。弾性部材59は、作業面12を外方へ押圧する力を提供する手段60として動作する。本実施態様に係る工具の全体が、円筒状表面の内側に摩擦化学的な沈着を施すために円筒状の開口に挿入されるべきものであるために、工具の作業面12はその湾曲表面に対して押し付けられる。弾性部材59は例えば弾性材料の連続した梁、またはバネの組み合わせであってもよい。他に、工具の作業面12を湾曲表面に対して押圧する力を提供する手段は、例えば、圧縮ガスまたは油圧流体のような制御された方法で適切な押圧力を提供する機械的構成のような能動的な手段であってもよい。] 図7A
[0039] 工具10は、本実施態様ではシャフト56に動作する、駆動手段61をさらに備える。駆動手段61は、工具の作業面を湾曲表面に沿って異なる2つの方向に動かすよう、構成されている。円筒状表面の内側の処理を意図する本実施態様では、駆動手段61はシャフト56を回転させ、また、その回転を軸方向の運動に変換することも行う。円筒状表面の内側を処理する工具にとって、2つ以上の作業面を有することは有利である。本実施態様では、4つの作業面12が提供されている。本実施態様では、4つの作業面12の全部が、上記の説明に係る作業面となっている。一方、1つまたはいくつかの作業面を、摩擦化学的な作業面を補うために、一般的な平滑化作用により寄与するだけの純粋に機械的な作業面と置き換えることも可能である。]
[0040] 図7Bは、湾曲表面を有する機械要素を製造するための工具10の、別の実施態様を示すものである。この工具には、ただ1つの摩擦化学的な作業面12が存在する。作業面12は、本実施態様では略U字形状を有する支持部分50によって支持されるシリンダー形状の工具ホルダー58の円筒状表面を覆う。工具ホルダー58は、工具ホルダー58の様々な部分を前方方向に向けるために、その軸周りに回転することができる。本実施態様に係る工具10は、外側の湾曲表面を処理するためのものである。工具10は、支持部分50を所定の経路に沿って動かすよう構成された駆動手段61により駆動される。支持部分50および工具ホルダー58の弾力性と、駆動手段61の運動とが協働して、処理される表面に対して作業面12を押圧する力が生成される。駆動手段61は、例えばコンピュータ数値制御(CNC)機械または工業用ロボット等により、容易に実現することができる。] 図7B
[0041] 本実施態様では、摩擦化学的に不活性な砥石69が支持部分50にさらに取り付けられている。支持部分の取り付け部分は、摩擦化学的な沈着を施す工具の作業面の位置と摩擦化学的に不活性な砥石の位置とを交換する手段68として構成される。それにより、支持部分50は、摩擦化学的な沈着と、粗ホーニング、摩擦化学的な表面の沈着前の表面の粗研磨や、摩擦化学による表面を沈着後に圧縮する等の他の摩擦化学的に不活性な処理との両方に使用可能となる。]
[0042] 湾曲表面を有する機械要素を製造するための装置80の一の実施例が、図8に示されている。工具10は、機械要素41の湾曲表面20に対して押し付けられ、湾曲表面20に対して動くよう、構成されている。それにより、摩擦化学による表面層22が機械要素41に形成される。本実施態様では、装置80は、結線85および結線86により測定用プローブ83および機械要素41にそれぞれ電気的に接続される制御部84を備える。測定用プローブ83は、湾曲した物体である。ただしこの湾曲した物体の半径は、機械要素41の湾曲表面の最小の半径よりも小さい。測定プローブ83は明確に規定された表面を有し、的確に制御された方法で機械要素と接触させられる。制御部84は、測定用プローブ83の運動を制御するよう、構成されている。制御部84は、接触抵抗のあらゆる変化も検出するよう、さらに構成されている。そのような接触抵抗の測定は先行技術において既知である。しかし、本発明に適用すると、実際に表面加工プロセスが行われる間、機械要素41の表面加工の制御のために用いることができる。接触抵抗は表面層22の形成に大きく影響される。従って、要求される接触抵抗が達成されるまで、表面加工を制御することができる。] 図8
[0043] 工具の作業面の組成は、安定な硫化物を形成する能力を有する、例えば、耐熱金属、特にタングステンおよび/またはモリブデン等の元素を、摩擦化学反応の源として、提供するものでなければならない。相応しい物質は、これらの元素の、酸化物、カーバイド、およびシリサイドの中に見出すことができる。良好な結果を有することが試された工具の物質は、タングステンカーバイド、三酸化タングステン、および炭化モリブデンである。作業面は、様々な方法で提供することができる。例えば図4に示されているように、作業面の物質の表面層を、例えば別の材料の工具コア上に沈着させることが可能である。そのような沈着は、例えば、PVDプロセスにより提供することができる。反応性を高めるために、工具表面上の粒子の結晶サイズは小さく保つ必要がある。平均結晶サイズが100nmより小さいことが好ましい。図9Aでは、本発明に用いることができる加工砥石の1つの実施態様が示されている。加工砥石90は円筒状コア92を備える。円筒状コア92の表面に、作業面12が沈着される。加工砥石90は、作業の間、処理が施される表面に対して押圧され、且つ同時に回転させられる。このことは、作業面12の材料が加工砥石90周りに基本的に同一の速度で摩耗するという特長を有することを意味する。] 図4 図9A
[0044] 作業面12の実際の形状は、処理しようとする表面に適応していることが好ましい。作業面および被覆される表面間の点接触による処理は、少なくとも理論上では可能である。しかし実際的な目的には、広い接触面または線接触が好ましい。図9Aに示す実施態様では、接触エリアは一般に線接触となっている。このように、作業面は様々な幾何学的形状を有することができる。被覆される表面が、小さい凹状の構成物である場合、作業面の幾何学的な範囲は小さくなければならない。ここでは、共形の接触エリアが好ましい。そのような実施態様では、接触エリアは、2つの対になる表面が正確に、またはさらに密接に、適合するときに形成される広い表面である。代わって、凸状の表面を処理する場合は、より大きな作業面、および平面の作業面または凹状の作業面さえも用いることができる。またここでも、共形の接触エリアを用いてもよい。平坦な表面を処理するには、作業面も平坦であってもよい。しかし、全体の接触エリアは、接触ゾーンに十分な圧力を与えるために十分に小さく保たれなければならない。一般に線接触は、完全に平坦な表面で、および1つの方向に湾曲する表面で、用いることができる。] 図9A
[0045] 図9Bでは、加工砥石90の別の実施態様が示されている。ここでは、コア90は、1つの狭い限られたセクションでのみ作業面により覆われている。そのような実施態様は、工具への取り付けが容易であり、さらなる他の運動を提供する必要がないという利点を有する。上述のように、小さな凹状の曲率半径を有する表面を処理することができる。その代わり、作業面の材料がきわめて限られていて、本実施態様に係る加工砥石90がすぐに摩耗してしまうという欠点がある。] 図9B
[0046] 図9Cでは、加工砥石90の、さらに別の実施態様が示されている。ここでは、コア90には、作業面12が沈着した、凹状の表面が提供されている。そのような加工砥石90は、例えばシャフトの外側表面等を処理するのに相応しい。] 図9C
[0047] さらに別の実施態様では、要求される作業面の物質が加工砥石の全体積中を通して存在するような加工砥石を有する工具が提供される。そのような実施態様が図9Dに示されている。そのようにすると、工具の作業面の寿命をかなり延ばすことができる。そのような工具は、例えば、結合材の材料により、モリブデンおよび/またはタングステンの、酸化物、カーバイド、および/またはシリサイドの粒子を結合することにより、製造することができる。適切な候補は、金属鉄および炭素をベースとした合成接着剤の中に見出すことができる。図9Dに示す実施態様では、加工砥石90は、必要な硫黄物質を少量含む、作業面全域に分布する細孔容積96を有してもよい。外部からの供給の必要なしに、必要な硫黄をこのように供給することができる。] 図9D
[0048] 上に説明した実施態様は、本発明に係る、少数の説明的な例であると理解すべきである。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施態様の様々な変更、組み合わせ、変化が可能であることを理解するであろう。特に、異なる実施態様における異なる部分の解決策を、技術的に可能な他の構成と組み合わせることが可能である。しかし、本発明の範囲は添付の請求項により定義されるものである。]
权利要求:

請求項1
被覆される表面(20)を有する機械要素(41)を提供するステップ(210)を含む、機械要素(41)の製造方法であって、さらに、前記被覆される表面(20)に沿って少なくとも2つの横断方向に、前記被覆される表面(20)の少なくとも一部における各点で前記被覆される表面(20)に直接的に固形潤滑物質を摩擦化学的に沈着するステップ(214)を特徴とする、製造方法。
請求項2
前記摩擦化学的に沈着するステップ(214)が、摩擦化学的な沈着工具の作業面(12)を前記被覆される表面(20)に対して、前記少なくとも2つの横断方向に、押し付けつつ滑らせるステップであって、前記摩擦化学的な沈着工具の作業面(12)と前記被覆される表面との間の接触ゾーン(12)を変形させる、押し付けつつ滑らせるステップを含み、前記摩擦化学的な沈着工具の作業面(12)から前記被覆される表面(20)へ物質の摩耗による移動が引き起こされ、滑らかな機械要素の表面を提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記摩擦化学的に沈着するステップ(214)は、前記押し付けつつ滑らせるステップの間、前記接触ゾーン(8)に硫黄を供給するステップをさらに含み、硫黄は摩耗により移動される前記物質と反応することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記機械要素(41)は前記被覆される表面(20)において、安定な硫化物を形成することができる物質を備えることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
請求項5
前記安定な硫化物を形成することができる物質は鉄であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
請求項6
前記硫黄を供給するステップは、前記工具の作業面(12)を有する工具(10)とは独立して行われることを特徴とする、請求項3から請求項5のいずれかに記載の方法。
請求項7
前記硫黄を供給するステップは、前記摩擦化学的な沈着工具の作業面(12)の細孔容積(96)に含まれる硫黄により行われることを特徴とする、請求項3から請求項5のいずれかに記載の方法。
請求項8
前記被覆される表面は、Sa=0.1μmより大きい表面粗さを有する粗い表面であり、Saは、中心線平均粗さとしても知られる3次元的な算術平均粗さであることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
請求項9
前記固形潤滑物質は、モリブデンおよびタングステンの少なくとも1つの硫化物を含む、請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法。
請求項10
前記工具の作業面(12)は、モリブデンおよびタングステンの少なくとも1つを備える、酸化物、カーバイド、およびシリサイドの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
請求項11
前記工具の作業面(12)は、前記モリブデンおよびタングステンの少なくとも1つを備える、酸化物、カーバイド、およびシリサイドの少なくとも1つの粒子を結合する、結合材の材料を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
請求項12
前記被覆される表面(20)は湾曲表面(43)であることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載の方法。
請求項13
前記湾曲表面(43)はシリンダーボア(40)の凹状の表面(44)であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
請求項14
前記湾曲表面(43)は外側の凸状の表面であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
請求項15
低摩擦面を有する機械要素(41)であって、前記低摩擦面(20)は、前記低摩擦面(20)の少なくとも一部における各点で、前記低摩擦面(20)に沿う少なくとも2つの横断方向で沈着された、摩擦化学的に沈着した固形潤滑物質の表面層(22)を有することを特徴とする、機械要素(41)。
請求項16
前記固形潤滑物質はモリブデンおよびタングステンの少なくとも1つの硫化物を備えることを特徴とする、請求項15に記載の機械要素。
請求項17
前記低摩擦面(20)は湾曲表面(43)であることを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の機械要素。
請求項18
前記湾曲表面(43)は回転対称の表面であることを特徴とする、請求項17に記載の機械要素。
請求項19
前記湾曲表面(43)はシリンダーボア(40)の内面(44)であることを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の機械要素。
請求項20
前記機械要素(41)は内燃機関要素(42)であることを特徴とする、請求項15から請求項19のいずれかに記載の機械要素。
請求項21
前記機械要素(41)は油圧シリンダー要素であることを特徴とする、請求項15から請求項19のいずれかに記載の機械要素。
請求項22
前記機械要素(41)は軸受要素であり、前記低摩擦表面(20)は内側のブッシュ表面であることを特徴とする、請求項15から請求項18のいずれかに記載の機械要素。
請求項23
前記湾曲表面(43)は外側の凸状の表面であることを特徴とする、請求項18に記載の機械要素。
請求項24
前記機械要素(41)はシャフトおよびピストンから選択されることを特徴とする、請求項15から請求項23のいずれかに記載の機械要素。
請求項25
請求項1から請求項14のいずれかに係る方法により獲得される機械要素。
請求項26
低摩擦である表面(20)を提供する機械要素(41)を製造する工具(10)であって、支持部分(50)と、少なくとも1つの工具の作業面(12)と、前記少なくとも1つの工具の作業面(12)を前記被覆される機械要素(41)の表面(20)に向かって押圧する力を提供する手段とを備える、工具(10)において、前記少なくとも1つの工具の作業面(12)は、安定な層状構造を有する金属二硫化物を形成することができる元素を備える、酸化物、カーバイド、およびシリサイドの少なくとも1つを備える摩擦化学的な沈着工具の作業面であり、前記被覆される機械要素(41)の前記表面(20)に対して、前記表面(20)の少なくとも一部の各点において少なくとも2つの横断方向に、前記少なくとも1つの摩擦化学的な沈着工具の作業面を動かす駆動手段(61)をさらに備えることを特徴とする、工具。
請求項27
前記摩擦化学的な沈着工具の作業面は、モリブデンおよびタングステンの少なくとも1つを備える、酸化物、カーバイド、およびシリサイドの少なくとも1つを備えることを特徴とする、請求項26に記載の工具。
請求項28
前記摩擦化学的な沈着工具の作業面(12)は、前記酸化物、カーバイド、およびシリサイドの少なくとも1つの粒子を結合する結合材の材料を備えることを特徴とする、請求項26または請求項27に記載の工具。
請求項29
前記摩擦化学的な沈着工具の作業面は、前記硫黄物質を含む細孔容積(96)を備えることを特徴とする、請求項26から請求項28のいずれかに記載の工具。
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